自分でする自己破産の申し立て手続き
司法書士などの専門家に頼まずに、自分で自己破産の申し立てをする場合の疑問点をQ&Aで解説しています。
A1.自己破産の申立てをするには何を用意するの?
必要書類は裁判所によって若干違う
以下に裁判所に自己破産を申立てる場合に必要な書類を記載しますが、申立書の書式や必要書類は全国の裁判所ごとに若干の違いがあります。
<必要書類>
☑ 住民票
☑ 戸籍謄本
☑ 給与明細(2~3か月分)
☑ 源泉徴収票(もしくは課税所得証明書)
☑ 預金通帳(1~2年分)
☑ 賃貸契約書の写し(賃貸の場合)
☑ 不動産の登記事項証明書(不動産を所有している場合)
☑ 退職金を証明する書面(現在の会社に5年以上勤めている場合)
☑ 車検証
☑ 保険証券
☑ 解約返戻金の有無が分かる書類(積立型の保険を契約している場合)
A2.債権者一覧表を作成する上で気をつけることは?
全ての借金を記載する
債権者一覧表には、銀行等の一般の金融機関・家族・友人からの借入れ等を全てもれなく記入します。また、他人の借入れについて保証人となっている場合はその保証債務も含まれます。
すでに時効が完成している債権者についても、消滅時効を援用して明確に紛争解決しているものを除き、後日の紛争を防止するために記載しましょう。同じくすでに廃業した債権者も全て記載します。
故意に一部の債権者を記入しないと免責不許可事由に該当する恐れがあるので注意してください。
もし、債権者一覧表に記載した住所等が間違っていたり、移転等によって破産手続関係書類が債権者に届かなかった場合や、失念等により債権者一覧表に記載を漏らした債権者に対する破産の効果はどうなるのでしょうか?
これについては意見の対立があるものの原則的に破産の効果は及ぶと考えられています。ただし、明確な根拠条文がないため、あとで争いになる可能性があるので、必ず債権者一覧表には全ての債権者を記載するように心がけましょう。
ところで、債権者一覧表を作成しようにも、どこの業者からいくら借りていて、残債務が現在いくら残っているのかが把握できない場合があります。
契約書や利用明細書の控えが存在していればよいのですが、他人に知られたくないと思いそれらを全て処分してしまっているケースも少なくありません。
このような場合は信用情報機関(JICC、CICなど)を利用して自分の借入状況を調査することができます。
これらの信用情報機関には『いつ、どこから、いくら借りて、現在いくら残っているか』という情報が蓄積されています。ですから、最寄りの窓口に開示請求をしてみるのがいいでしょう。
受付方法は原則的には来所ですが郵送による開示も可能です。 開示請求できるのは情報の開示を希望する本人で、請求に際しては本人であることを証明できる本人確認書類(免許証など)や印鑑が必要になります。
Q3.裁判所に申立て書類を提出する際の注意点
予納金を納付する必要がある
裁判所に自己破産を申請する場合は1万円程度の予納金が必要です(裁判所によって異なります)。この中には、破産手続開始決定と免責決定を官報(政府発行の機関紙)に掲載する費用が含まれます。
この予納金は、申立ての際に受け付けで受取る納付書に必要事項を記入して裁判所の会計課にお金と一緒に持参すればすぐに終了します。
予納金は必ずしも申立てと同時に収める必要はありませんが、これを納付しないと自己破産の手続が先に進みませんし、長期納付しないでいると自己破産の申立て自体が却下されてしまうので、できるだけ申立てと同時に納付しましょう。
また、自己破産の申立て自体を郵送で行うことも可能ですが、この場合の予納手続は後日行うことになります。郵送で申立てをする際は、普通郵便ではなく必ず書留で送りましょう。
また、数千円程度の郵便切手を添付する必要があります。これは、裁判所が申立人と債権者に書類を郵送する際に使用するためです。
そして、申立てに際して一番重要なことは受付票(受理証明書)を交付してもらうことです。
本来であれば債権者である貸金業者は破産の申立てがあったことを知った時点で取立てが規制されていますが、破産の申立ての事実を口頭で伝えても簡単には取立てを止めてはくれないのが現状です。
特に、司法書士などの専門家が関与していない場合は、自己破産の受付票(受理証明書)を裁判所から交付してもらい、すぐに全債権者に送付するようにしてください。
※ 同時廃止事件の場合
必要な費用 | |||
印紙 | 予納金 | 郵便切手 | 司法書士費用 |
1500円 | 約1万円 | 数千円 | 10~30万円程度 |
Q4.自己破産手続の大まかな流れは?
トータルで3~6ヶ月かかる
以下が、千葉地裁における自己破産(同時廃止事件)の大まかな手続の流れです。
申し立てから免責の決定が出るまでは約3か月ですが、裁判所によって多少運用が異なります。
1.自己破産の申立て
申立人の住所地を管轄する地方裁判所に申立書を提出します
2.裁判官との面接
裁判官からこれまでの経緯などを聞かれます
3.破産手続開始決定
めぼしい財産がなければ同時廃止の決定がされます
4.免責の決定
同時破産廃止決定から2ヵ月くらいで免責決定が出ます
5.免責確定
免責確定により借金が全てなくなります