自己破産と保証人の問題
自己破産をすると保証人に迷惑がかかるのか
保証人には正直に事情を話す
債務者本人が自己破産をして免責されたとしても、保証人の支払い義務は残ったままです。よって、連帯保証人がいるのであれば、今度はそちらに借金の督促が集中することになります。
保証人に迷惑をかけられないといって自己破産を躊躇しても何の解決にもなりません。もし、自分が自己破産をするのであれば、保証人に正直に話をして、その保証人を含めた債務整理を考える必要があります。
中には保証人も自己破産せざるを得ない場合もありますが、とにかく大切なことは保証人に対して誠意をもって全てをきちんと説明するということであり、そのような義務が債務者本人にはあるのです。
友人が勝手に健康保険証を持ち出して借金をした場合
名義の無断使用なので支払い義務はない
お金を借りるには、貸主と借主が金銭消費貸借契約を締結します。
しかし、今回の場合は名義が無断で使用されているので、そもそも法的に有効な金銭消費貸借契約が成立していないので、当然支払い義務はありません(これは、友人に限らず第三者に盗まれた場合も同様です)。
よって、取立てを止めない貸金業者に対しては、友人が勝手に健康保険証を利用してあなた名義で借金をした事情を説明したうえで、自分には支払い義務がないと返済を拒絶することができます。
しかし、貸金業者が契約の有効性を争ってくることもあり、そういった場合は最終的に裁判所で支払い義務があるのかどうかを判断してもらうことになります。
これに対して、友人に名義貸しをしていたなど、自分が契約上の借主になることを事前に承諾していたり、返済は友人がおこなうことを約束したうえで、自分が借り入れをした場合は当然に契約上の借主である自分自身に支払い義務があります。
騙されて保証人になった場合
騙された相手によって異なる
貸金業者に『保証人としての責任はないから形だけ署名して欲しい』などと言われて保証人になったような場合にはサラ金業者との保証契約の無効または取消しを主張して保証人としての責任を免れることができる場合があります。
しかし、友人に『絶対に迷惑をかけないから保証人になって欲しい』などと言われてサラ金業者と保証契約を締結した場合は、保証契約を取り消すことはできず、保証人としての責任を免れることはできません。これは、保証人となる契約は保証人と貸金業者との契約だからです。
勝手に保証人にされた場合
勝手に保証人にされても支払義務はない
保証契約は貸金業者との契約ですので、業者に対してあなた自身が連帯保証人になる旨の意思表示をしていなければ支払義務はありません。
通常は、契約書や借用書の連帯保証人欄に署名・押印することによって保証契約は成立しますが、場合によっては、貸金業者が連帯保証人になるかどうかを電話で聞いてくる場合があります。
このような場合はたとえ電話であっても連帯保証人になることを承諾したのであれば、法的には保証人としての責任を負う可能性があるので注意して下さい。
ただし、貸金業規正法では保証契約を締結した時は、契約書面を当該保証人に交付しなければならず、書面の交付がない場合は100万円以下の罰金に処せられます。
いずれにせよ、連帯保証人を頼まれた場合は、はっきりと断るのが一番安全といえます。
保証人として支払ったお金を債務者から返してもらえるか
求償権を行使すれば本人に請求できる
連帯保証人には『求償権』というものがあり、自分が債務者に代わって貸金業者に返済した場合は、主たる債務者に対してその分のお金を返してもらうことができます。
また、自分のほかにも連帯保証人がいるようなケースでは、連帯保証人の頭数で割った分について他の連帯保証人に請求できます。
しかし、現実的には主たる債務者や他の連帯保証人に資力がない場合がほとんどなので、実際に保証人が返済した分のお金を返してもらうのは困難といえるでしょう。
なお、主たる債務者が自己破産をしている場合は求償権を行使してお金を回収することはできません。
保証人も支払えない場合
保証人も債務整理をする必要がある
主たる債務者が返済を滞れば、保証人に請求がいきます。その際に、保証人も支払うことができないのであれば、保証人自身も債務整理を検討する必要があります。
なお、債務者が自己破産をしても保証人には影響がありません。その際に保証人に支払能力がないと、最終的には保証人も自己破産をしなくてはいけなくなる場合があります。